君に届け【短編】
久しぶりの兄弟でお出かけに、あたしはテンションが上がりっぱなし。
そんなあたしに仁兄は、
「…うざ」
と一言。
まったく!いつもこうだよ。仁兄は一言多い!!
「まぁまぁ、久しぶりの買い物だから奏枝も浮かれてんのよね」
由枝姉があたし達に割り込んできて、笑いながらそう言った。
さすが、由枝姉!あたしのこと分かってるっ!!
由枝姉はあたしと同じ高校の3年生で、亮先輩と同じクラス。
だから、あたしの気持ちも知ってて、なによりあたしのこと分かってくれる。
すっごく頼れる姉だ。
そんなこんなで、ショッピングモールに着いた。
ここは広すぎて迷うんだよね…。事実、前に迷ったし。
だから今日は、二人がいて少し安心。前は一人で来たから迷ったんだと思う。
「あ!あたし欲しいものがあるから、ちょっと行ってくるね!!」
由枝姉はあたしと仁兄を残し、スタスタとどこかへ行ってしまった。
『…まったく。あ、仁兄はどうする?』
「あぁ、俺は別に欲しいもんとかねーし。今日は特別に、お前の買い物に付き合ってやるよ」
けっ!一言多いっつの!!ま、そう言ってくれるのは嬉しいんだけど。