君に届け【短編】
あたしと仁兄は、とりあえず2階へ行くことにした。
『んー、あたし服欲しいから、見てきていい?』
「どーぞ?」
仁兄に断わってから、あたしは目の前にあるお店に入った。
振り返ってみると、仁兄はベンチに座ってタバコをすっていた。
いくら大学生で20歳だからって、タバコはやめてほしいよ。
って思ってたら、なんか見知らぬ女の子に囲まれてるし。
仁兄は一言多いけど、外見はいい方だと思うし、大学でもモテるらしい。
ま、亮先輩には負けるけどねっ!!
一それから、あたしは服を選んで、会計をすませた。
仁兄のところへ行くと、もう女の子達はいなくて。
不機嫌な顔をしている仁兄がいた。
『仁兄!買い物終わったよ。待たせてゴメンね?』
「…別に。ま、女がうざかったけどな」
『ははっ…』
やっぱり、それで不機嫌なのか。
ふいに、仁兄から視線を外し、右の方を見た。
…すると、あの人がいた。
な、なんでいるの!?!?
少し先のところには…亮先輩の姿。
背が高いからすぐに分かった。
あたしの心臓は波をたてるように、活発に動きだす。