君に届け【短編】
なんで上手くいかないんだろ。
頑張れば、もしかしたらいつか先輩が振り向いてくれるはず…。
なんて甘いこと考えてた。でも、そんなこと、これから一生来ない。
そんな夢みたいなこと、もう起こらないんだ…。
そう思ったら、自然と涙が出てきた。大量の雫が目からこぼれ落ちる。
そのままあたしは、眠りについた。
"ピンポーン"
家のチャイムが鳴り響く。あたしはその音で目を覚ました。
今、家にはあたし一人。しょうがなく、玄関に向かいドアを開けた。
『…はい?どちら様…』
「…寝てた?」
え…!なんでここに!?!?
目の前には、亮先輩。
一瞬夢かと思った。
『…なにか用ですか?』
冷たく言ってしまった。そんな風に言うつもり、なかったのに。
「いや、お前が早退したって聞いて。大丈夫か?」
そっか…。先輩は心配して来てくれたんだ。
『大丈夫です…。ありがとうございます』
「そうか。あ、そうだ。お前に聞きたいこと、あんだけど…」
『はい?なんでしょう』
先輩があたしに聞きたいこと?なんだろう…。