君に届け【短編】
今日は、他の生徒より一時間早く来て、学園祭の準備。
いつもなら、まだ家で寝ているあたしは、睡眠時間が多いからこの一時間は貴重な時間。
だからなのか、体が重く感じる。
「奏枝、この計算間違ってないか、確認してくれる?」
『はい!分かりました』
先輩に頼まれて、計算を始める。
この計算は、しっかりやらないといけない。
学園祭の経費の計算だから、一つのミスも許されない。
ミスをしてしまったら、各クラスの学園祭の予算が決められないからだ。
だから、相当重要なことってわけ。そんな重要なことを頼まれてるあたしは、すごいのかな?
一その時、生徒会室の右奧にある、生徒会長室のドアが開いた。
中からは、生徒会長が涼しい顔をして出てきた。
会長、一番仕事が多かったはずなのに…やっぱ、すごいなぁ。
生徒会長・北原亮(きたはらりょう)先輩。
高校3年生で、頭脳明晰なクールな人。
女の子たちに人気で、隠れファンがいるとか。
とにかく、モテる。でも、先輩はちょっと冷たいところがあるとかで、告白する女の子はそうそういない。