君に届け【短編】
信じられない言葉に、あたしはまた問いかける。
「…っ。
だから…お前のこと
好きだっつってんの」
好き…?
先輩があたしを…??
そんな夢みたいなこと
あるの…?
『…それ…本当ですか?』
「嘘ついてどーすんだよ、こんなこと」
本当に…本当に?
先輩、あたしまだ信じられないよ…。こんなことが起こるなんて、思ってもみなかった。
「…で、お前は?」
『…ヒクッ…あ、あたしも…先輩が好き…です…!』
涙が溢れた。
やっとあたしの想いが届いたんだって…すっごく嬉しかった。
「…知ってる」
そう言って、先輩はあたしを抱きしめてくれた。
って言うか、知ってたの!?あたしの気持ち…
『…そういえば、先輩、あたしのこと好きじゃないって言ってましたよね?』
「はぁ?」
『…前に、教室で話してるの聞こえて…』
実は、まだあの時のことを気にしてたあたし。
思いきって聞いてみた。
「あぁ、あれか…。あれ、嘘」
『はい!?』
「だから、嘘!あいつ、しつこい奴でさ、好きなんて言ったら絶対なんか言ってくると思って」