君に届け【短編】

　
　
「なに言ってんだよ」
　
　
『すいません、お願いします！』
　
　
…こいつ、なに言ってんだ？俺、一応こいつの彼氏だよな??
　
　
なのに、裕也と一緒に行く？他の男と？
　
　
…意味わかんねぇ
　
　
　
"グイッ"
　
　
そう思った時には、宮下の手を引いていた。
　
　
『ちょ、先輩!?』
　
　
戸惑う宮下の声なんて、無視して。
　
　
俺は人気のないところに宮下を連れ出した。
　
　
『…先輩？』
　
　
「…お前、なに考えてんの？」
　
　
『…え？』
　
　
なにも知らねー顔しやがって…。俺が怒ってること、分かってねーのか？　
　
　
「…俺、お前のなに？」
　
　
『え？』
　
　
真剣な顔で宮下を見る。ホントに、俺はお前のなんなんだよ…っ！
　
　
『…か、彼氏です』
　
　
戸惑いがちに言う宮下。
　
分かってんじゃん？
　
　
「じゃあ、なんで他の男と一緒に行くとか言うわけ？」
　
　
『そ、それは…！』
　
　
「なに？」
　
　
たぶん、今俺は冷たい目をしてこいつを睨んでいるだろう。
　
でも、しょうがねーだろ？それだけ俺は怒ってんだよっ!!
　
　
『…だ、だって…先輩格好いいから、他の子に見られたくなかったし…一緒に行くって言われて嬉しかったけど…恥ずかしいし』
　
　
「は？」