君に届け【短編】
こんな密室に先輩と二人きりだなんて…心臓がもたない…!!
今だって、すごい活発にあたしの心臓が動いているのが分かる。
だいたい、先輩たちも先輩たちだよ!あたしを置いて行っちゃうなんて!
いや、計算終わらせないといけないんだけどね。
「…手止まってんぞ」
静かだった室内に、先輩の低い声が響いた。
あたしは、はっとして、我に返った。
そういえば…、今計算中だった!!なに余計なこと考えてるの、あたし!!!!!
『あ、すいません!』
「…後ちょっとだな」
…ここで会話終了。
てか、今のは会話と言えるのか?一応、喋ってはいたけど。
一…また沈黙が流れる。
あたしは沈黙に耐えられず、急いで手を動かす。
早く計算終わらせて、この密室から出たいよーっ!!
そんな思いが強かったのか、計算は早く終わらせることができ、書類が完成した。
『終わりましたっ!』
「お疲れ。計算の最終確認は俺がしとくから、お前は教室行け?」
『あ、はい!お願いします。じゃあ、また』
「ん。サンキュな。また生徒会あったら連絡いれるから」
先輩はそう言って、あたしの頭に手を置いた。
こんな仕草にも、ドキっとするあたし。