君に届け【短編】
 
 
やっぱり好きだなぁ…なんて思いながら、あたしは生徒会室を後にした。
 
 
 
一教室
 
 
ガラッとドアを開けると、あたしに向かって走ってくる一人の女の子。
 
 
「奏枝ーっ!!」
 
 
『姫奈…どうしたの?』
 
 
またか…、と思いながらも問いかける。
 
教室に入ると泣きながら、走ってくる女の子。
 
 
これはいつものことで、毎日のように繰り返される。
 
だからか、慣れてしまって少し呆れている。
 
 
…姫奈はクラスメイトで、あたしの親友。大人しくて、可愛い女の子だ。
 
 
「聞いてよ!また藤がねっ、セクハラしてきたの!!」
 
『ははっ。またって、今日はなにしてきたの?』
 
「もうー!笑わないでよ!最悪だったんだから。今日はね、なんかよく分かんないけど、頬っぺにキスされた…////」
 
 
姫奈は顔を真っ赤にしながら、戸惑いがちに言った。
 
こんなところも可愛い。だけど…それはノロケか!?
 
 
あたしなんて、先輩に全然相手にされてないのに。
 
ちょっと姫奈がうらやましい。いつも顔を赤くして話す姫奈が…うらやましい。
 
 
あたしもそんな風に話せる時が来るのかな…。
 
 
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