君に届け【短編】
『ふーん、そっか。よかったじゃない!』
今の話を軽く流そうと、素っ気なく言う。
「ひどいよ、奏枝ーっ!」
あぁ、とうとう泣きだすかな?目に涙が溜まり始める姫奈。
ゴメンね?いつものことだけど、ちょっと意地悪させて?
『はいはい』
また素っ気なく言うと、とうとう姫奈は泣き出した。
「うわーん、奏枝のバカぁーっ!!」
あたしから離れて、違うところに走っていく、姫奈。
その行き先は…
「心ちゃーん!優ちゃーん!」
もう二人の親友、心菜と優希のところ。
このパターン、毎日一緒。
あたしが素っ気なくすると、すぐ二人のところへ行く姫奈。
ま、そんなところも姫奈らしくて可愛いけどね!
"♪〜♪〜♪〜"
そんな時、携帯の着信音が鳴った。
この着信音は、メールの方だ。
制服のポケットから携帯を取り出し、パカッと開けた。
あっ!!亮先輩からだっ!
少し高鳴る心臓。
先輩からのメールの時はいつもドキドキしちゃう。
時々、電話もかかってくるけど、電話の時はメールの時の何倍も緊張する。