君に届け【短編】
亮先輩はまた涼しい顔をして、余裕そう。
でも、きっとあたし達他の役員より、疲れてるはず。会長って仕事多いし。
「…宮下は終わったのか?」
『あ、はい。終わりました』
「…じゃあ、帰るか」
ん?帰るか?…って、一緒に帰るってこと!?!?!?
いやいや、そんなまさか。一緒に帰るなんて、滅多にないって言うのに!
前に2、3回、亮先輩と帰ったことがあった。
その時は、先輩が送るって言ってくれて。
でも、なぜか他の生徒会の先輩たちには声をかけない亮先輩。
あたしの他にも、女の役員はいるのにあたしだけに声をかけて、家まで送ってくれる。
そのたび、あたしは不思議に思い、少しだけ期待してたんだ。
…もしかしたら、先輩も…って。
そんなの、あるわけないのにね。どこかで期待してる自分がいた。
「宮下?行くぞ?」
『ふぇ?』
あ!変な声でちゃった!!恥ずかしいよーっ!
「フッ。変な声」
『////…あの、行くって…』
「ん?送ってくってことだけど」
先輩は笑いながら、あたしの手を引いた。
その行動に少し驚き、あたしの心臓はドキドキいってる。