君に届け【短編】
そのまま、生徒会室を出た。
前には亮先輩の大きな広い背中。
あたしより、20センチは高い身長。
その姿を後ろから、じっと見てた。
「…宮下?」
『あ、はいっ!』
「…大丈夫かよ。ボーっとしてたけど」
先輩はあたしの顔を覗きこんで、心配そうにしていた。
ボーっとしてたかな?って言うか、先輩を見てただけです…。
なんて言えるはずもなく、あたしは適当に大丈夫だと言っておいた。
すいません、先輩。
心の中で謝り、その後、他愛のない話をしていたら、すぐに家に着いた。
『先輩、わざわざありがとうございました!』
「いや、いいよ。明日は休みだし、ゆっくり休めよ?じゃあな」
『はいっ!また』
先輩はあたしが家に入るまで見送ってくれてて。
そんな優しさにも、ドキっとする。
最後に手を振って、家に入った。
一…次の日
今日は土曜日。つまり、学校は休み。
あたしは昨日、兄の仁に買い物に付き合って、と頼んだ。
しぶしぶだけど、オッケーしてくれた仁兄と今日は地元の大きいショッピングモールへ。
なぜか、姉の由枝までもが一緒に行くことに。
だから今日は、兄弟三人でお出かけだ。