月待ち人
神様……私を助けてよ。お願いだから

夢を見た。何回も何回も同じ夢…
私と知らない誰かが一緒に歩いていて…同じ場所で彼がいつも消えてしまう。
「いや…いかないで」
毎日、同じ目覚め方。右手が虚しく空を切り裂いていた。
「あなたは誰?」
今日も解らずに無意識に涙が流れた。
教室にいけばいつもの風景。倉本くんは優しくて、由奈も変わらずに可愛い…奥出くんも笑って会釈してくれた。彼の言葉はまだ戻って無いみたい。
「ちょっと、桜月。寝不足なんでしょ?目の周りひどいよ」
呆れながら手鏡を渡す由奈から受け取り目元を映す。
確かにひどい…くまだらけな上、目は真っ赤に充血してしまっている
「うわー、最近夢見悪くてさ。」
冗談にしようと無理してるのが由奈に伝わったのかそれ以上は追求してこなかった。
倉本くんは優しい。たぶん彼氏としては申し分ない人だと思う
でも違う
違いだって、きっとだんだんと埋められていけると思う。
「私、倉本くんの事、もっともーっと好きになる。だから、ずっと一緒にいようね」
不安を消すように彼の背にギュッと抱きついて言葉を零した
「どーしたの桜月ちゃん、オレだってずっと一緒にいるつもりだよ」
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