月待ち人
「奥出が声を失ったのはオレ達…いやオレの所為なんだよ」
かすかだが倉本くんの声は泣き声を押さえ込むように震えていた。
「本当は…このまま恋人でいたいよ。でも、ちっとも嬉しそうにみえないんだよ」
「……っ、そんな事ない。倉本くんと一緒だと毎日楽しい…」
「……り、ありがとう」
近づいてきた倉本くんが静かに私の髪を撫でてギュッと抱きしめてくれた。


「奥出の記憶取り戻せても…オレとも友達のままでいてね。本当に君だけが今でも大好きだよ」

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