月待ち人
教室に行くとツキはすでに友達と楽しそうにアイドルだか何だかの話に華を咲かせていた。
やっぱりツキはカワイイ…。群を抜いてる
「…やっぱ言えねぇよ…」
関係を壊したくなくて言えない2文字…
空には簡単にかけるのに……言葉には出来なくてバカみたいだオレ…
ねぇ…ツキ?オレがお前の事好きって言ったらどうする?
いつもみたいに笑ってくれる?
「倉本…」
「何だよ。死人みたいな声だして」
「もう…オレ、限界かも…好き過ぎて無理」
「誰をだよ…もしかして藤野さんの事?」
倉本の言葉に今度は素直に頷いた
「だから……誰にも取られたくないの」
「ハイハイ…」
倉本は苦笑しながらオレの一人言に返事を返してくれた。
うつぶせた机がひんやりと心地良く静かに目を伏せた
「なぁ…奥出…藤野さん案外、気付いてるかもよ」
倉本は横目でツキを見ながら口を開いた。
「知ってる…あいつカン良いから」
でも形にしてしまうのが怖いから、この状況で我慢してるんだ。
「ナルくん…ナル、鳴瀬くん」
頭から心地良い声が聞こえてきて顔をあげるとツキが立っていた。
興味無い振りを決め込む弱虫なオレ…泣きたくなる。
「何だよ、ツキ…人の睡眠妨害するなよ」
「ナルくんがすごーく眠そうだったからイジワルしに来たんだよ」
悪戯っ子みたいに笑うツキも…やっぱり可愛いと思った。
照れ隠しにツキの頭を軽く叩いてゆっくり伸びをした。
「どーせ、一限って古文だろ?オレ理系狙いだから自主休憩」