月待ち人

「…でしょ?だったら僕と…」

「…なの、ごめんなさい」


聞き慣れた声と聞き慣れない声…聞き慣れないのは男の声でもう一つはツキの声…
おきあがるとソーラーパネルの脇にツキと誰かが立っているのが見えた

給水タンクの影にいたオレには二人共気がついてないのかな?


たぶん…間違い無くツキに向けられた告白

大人しそうな優男

ツキ受け入れるのかな?

ジーッと耳をそばだてると声が聞こえた

「小さい頃から好きな子がいるの?」

ねぇ、ツキ…それってオレの事だよね?

そうじゃなきゃオレ…イヤだよ


咲き乱れている桜が宙を舞い、白い月は空に浮く雲に負けじと静かに力強く存在を主張していた。



「ナルくん、趣味悪いよ」

最初からわかっていたかのような口調でツキがオレを呼んだ。

「後から来たのはお前らだろ」



そうだね…とツキは自嘲気味に自分の髪を掻いた。

「ツキ…断ったんだ」

「だって…クラス違うし、良く分からない人だし。私ちゃーんと昔から好きな人いるしね」
笑いが込みあげてくる…嬉しくて仕方無い。


「ツキと小さい頃から一緒だなんてオレだけじゃん」

幾分ツキも嬉しそうに笑っている。

「さぁ…ノーコメントですよ」



今なら想いを伝えられそうな気がした。

久しぶりに彼女の名前を呼んだ

「桜 月…」

「えっ、何いきなり」

案の定おどろいたのか、いきなりの言葉にツキは目を見開いてパチパチと瞬きをくりかえした。

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