桃色チェリー
「何よそのため息っ!そんなに似合わないって言いたいの?」
「……違うって。似合うとかどうより、その髪、絶対何か言われるよ。先生だって、黙ってるわけない。」
確かに、莱の言っていることはもっともだ。
こんなピンク色に勝手に染めて、施設の先生も学校の先生も、黙ってるわけが無いことくらい、あたしだってわかってる。
「いいんだもん。芽梨の髪の毛だし。」
「だからって……。何でいきなり、髪を染めようなんて思ったんだよ。」
「それは……」
それは、莱にあたしを見てほしいから。
そう素直に答えかけて、やめた。
本当のことを言うのが、何だか急に恥ずかしく思えたから。
「それは?」
「いいのっ!ただの気まぐれだよ。」
だから莱にそう答え、焦りを隠すようにぷいと顔を背けた。