桃色チェリー
そんな莱の様子にハッとしたようで、先生はあたしを見ながらようやく言葉を紡ぎ出す。
「……いや、芽梨ちゃん。似合うとかそんなことより、あなた、何やってるの?」
「何って……。ただ、髪染めてみただけだよ。」
「だから、それは何で?」
「いーわないっ!」
でも先生にだって、髪を染めた本当の理由を言ったりなんかしない。
「……学校までに、黒く戻すのよ。」
「いや。今日からこの色が、芽梨の髪色だもん!」
何を言われたって、髪色を黒く戻したりなんかしない。
呆れる先生と莱の横で、あたしはにこりと笑う。
少しでも目立って、莱の視界にあたしがいるのなら、いられるのなら。
他人にどう思われようが咎められようが、あたしには関係ないのだから。