桃色チェリー
「可愛いフリして男子に媚びちゃって、超性格悪いよね。」
だって実際、あんたより可愛いし。
でもあたしは、莱以外には興味ない。だから、他のカスみたいな男に媚びたりした覚えはないんだけどなあ。
「……もしかして、芽梨に嫉妬?」
「この、性悪女っ!」
そういうこと言うあんたの方が、よっぽど性悪じゃない。っていうか、やっちゃった。思わず言い返しちゃうなんて、あたし何やってんだろう。
でも後悔する暇なく、女子の1人に突き飛ばされた。身構えてなかったからか、相手が見た目以上の怪力だったのか、わからないけれど。
思いのほか身体は後ろへ傾いて、ドンッ、と体育館倉庫の壁と背中が衝突した。
「…っ、いったぁ……」
「口答えするから、悪いのよ。」
理不尽な先輩。
しかも、高慢なのはあたしだけじゃないみたいじゃん。
尻餅をついたまま、あたしを突き飛ばした女を睨み上げる。だけどそれは案の定、余計相手を挑発してしまったらしい。