桃色チェリー
いつもと何ら変わりのない、いたって普通の日曜日。
お昼近くまで寝て、莱と話して、適当にごろごろして、明日の学校の準備をして。
そんなふうに、今日も1日が終わると思っていたのに。
日常はあまりにも突然、嘘のように終わりを告げた。
一瞬、何があったのかすぐには理解できなかった。多分これはあたしだけじゃなく、莱も先生も、施設のみんなだってそうだと思う。
響き渡る轟音に、至るところで反響する悲鳴。目の前に広がるのは、もはや見慣れた光景ではなかった。
様々なところで上がる火柱を、あたしはただ、見ているしかできなくて。
「莱君っ、芽梨ちゃんっ、早くこっちよ!」
先生の切羽詰まった声にも、すぐには反応できなかった。得体のしれない恐怖に、すくむ足。漂う焦げ臭いにおいが気持ち悪くて、吐きそうになる。