杏 ~あんず~
「じゃあ…、ずっとあたしたちを騙してたの…?」と玲花。
「騙してたわけじゃない…。」
「でもあたしたちに隠して、偽名使ってたんでしょ…?」と愛梨。
「確かにそうだけど…、でもそれは……」
「ごめん。」
え…?
玲花…?
「今まであたしたち、杏として友達やってきたわけでしょ…?」と玲花。
「……だから、直接杏が悪いわけじゃないけど、ねぇ……?」と愛梨。
「ちょっと…、頭が追いつかないの…。だから……ごめん。杏が悪くないのは十分分かってる。」
「……でもごめん。ちょっと距離…取らせて…。」
「……ごめん…。」
そう言って、玲花と愛梨は席についた。
クラスメイトたちもぞろぞろと席につく。