杏 ~あんず~
ー放課後ー
帆乃香と達也には教室で待ってもらって、あたしは屋上に向かった。
これ以上深入りしたくなかったから、あたしはなるべく短時間で話そうとか考えていた。
コツコツコツ……
屋上までの階段をどんどん登る。
ちょっと遅れちゃったかな…?
莢乃いるかな…?
いないと困るけど…。
このドアの向こうに………。
ガチャ
あれ……?
いない……?
「莢乃…?」
いるなら返事して…?
「おーい…莢乃ー?」
どこだろ…?
あの隅のほうかな…?
「莢乃ー?さや……。」
………え……?
嘘……だよね……?
「……っ!!」
……あたしは見てしまったんだ…。
大翔と莢乃のキスシーン……。