杏 ~あんず~
~風戸side~
終礼が終わってすぐ、俺は莢乃に呼び出された。
「…なんで屋上?」
「教室だと人がいるでしょ?」
「で?話って何?」
「…あそこの隅っこで話そう?」
莢乃は屋上でもあまり目立たない隅のほうに座った。
渋々俺もその隣に座った。
「あのね…、あたしまだ大翔のこと好きなの……。」
は……?
何言ってんだよ?
「俺たちもう別れただろ。」
「うん…分かってる…。」
分かってんならどうして…?