アイドルまっしぐら!!

……昔の夢を見た。




「……光樹!ここまで登ってこいよ!」



「……無理だよ。高いもん……。」




幼稚園か保育園くらいの、まだ幼かったとき、




俺は体も小さく、泣き虫で、いじめられっ子だった。



小学生になって、良介と出逢う頃には、そんな面影はなかったけど。




あの日も、少し高めのジャングルジムに登れない俺を、何人かの男の子がからかっていた。




「光樹、こんなんで怖がってて、本当に男かよ〜。」



俺は、言い返すこともできなくて……



ただ、歯をくいしばって立ち尽くしていた。




「……ねぇ、そこに登れないと男の子じゃないって、どうしてなの?」




……そんなとき、必ず里奈が近くにいて……



「だって、男が高いところ怖がってるなんて、弱いじゃん。」




ジャングルジムの上から、一人の男の子がそう言った。



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