アイドルまっしぐら!!
「久しぶりだね、光樹。」
夕方、里奈の家を訪れると高木の言う通り、
様子のおかしい里奈がいた。
「よぉ。これを持ってきたんだ。」
俺は、直接言うなんてできなかったから、
少し早いけど、ホワイトデーのプレゼントを渡すためにやって来た、感じを装った。
「何?これ……。」
「少し早いけど、ホワイトデーのお返し。」
「……そっか。ありがとう。」
里奈に覇気がない。
「……ホワイトデーは良介と会うだろうからさ、早めに持ってきたんだ。」
俺は、里奈のベッドに座って言う。
「大事に食べるね。」
……何でもっと早く気づかなかったんだろ。
こんなに元気がないのに。
「……最近、何かあったか?」
俺が意を決してそう聞くと、一瞬里奈の表情が暗くなった。