アイドルまっしぐら!!
「お母さんは?」
「……いないんだ。」
僕は里奈の正面に座り、お茶を飲みながらそう言った。
「えっ……。」
「今日、里奈を僕の部屋に呼んだのは、二人っきりになりたかったっていうのもあるんだけど……僕がアイドルになった理由を話したかったんだ。」
「りょうくんがアイドルになった理由?」
「……うん。」
……僕がアイドルになった理由。
それは、僕の暗い過去でもある。
「僕には兄弟はいなくて、父さんと母さんの三人家族だった。今じゃ、あんまり記憶もないんだけど。」
「……うん。」
「どこにでもいる普通の家族だったと思う。でも……僕が幼稚園の時に父さんが交通事故で死んじゃって……母さんが僕を養う形になったんだ。」
……里奈は、真剣な表情で僕の話を聞いてくれてる。