アイドルまっしぐら!!
「……何ですかね。」
城山くんがそう言ってフェンス越しに下のほうを見たので、私も同じように見た。
「里奈〜!!!!」
「……えっ?」
そこにいたのは、たくさんの女の子たちに囲まれながら、私の名前を呼ぶ……りょうくんだった。
「里奈!!どこにいるの〜!?」
……どうして、りょうくんがここに?
「りょうくん!!ここだよ!!」
……でも、私は衝動的にそう叫んだ。
「……今、行くからね!!」
りょうくんは私のほうを見上げて、そう言って走り出した。
「……先輩、山中良介に言いましたね?僕を裏切ったんだ……。」
城山くんは怒った口調で言いながら、私に詰め寄ってくる。
「……言ったけど、まさか来てくれるなんて思わなかったから。」
「何も言わないでください。今の先輩を信じる余地はありません。」
城山くんは、そう言って私の両肩に手を置いた。
「……覚悟してください。」
……私は、何も出来ずに震えていた。