らっく!!



気まずい雰囲気を残し、目的の駅につく。


私たちはお互い口を閉ざしたまま2人で改札を出て映画館まで歩き始めた。


さっと私の左側を歩く先輩。


あ…。


先輩はさりげなく車道の方を歩いてくれた。


こんなときでも優しい先輩…。


でも私はそんな先輩を心ない一言で傷つけたんだ。


「美弦ちゃん…?」


急に足が止まった私を、先輩は怪訝そうに見つめる。


なんてことしちゃったんだろう…。


私はこんなにも優しい人を傷つけてしまったんだ―…。






「ごめん…なさい…」


謝ります―…。


だから嫌わないで…。


泣きながらバカみたいに繰り返し謝る。


「美弦ちゃんっ!!泣かないでっ…!!」


焦る先輩をよそに私はそのまま泣き続けた。


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