らっく!!
バタンッ!!
けたたましい音と共に再びドアが開いた。
そして――…。
「美弦ぅぅぅっっ!!」
一際大きな声が応接間に響いた。
あ…れ…?
私の視界はいつの間にか誰かの体に遮られていた。
抱きしめ…られてる…?
「美弦!!会いたかったよ~!!まったく社長なんて不便な役職だよねっ!!」
突然現れたその人は一旦腕の力を緩め、私の顔をニコニコと見つめた。
今…社長って言った…?
高級ブランドスーツに身を包んだその人はどう見ても30代にしか見えない。
「美弦?」
社長さんは私が無反応なのに気づいたのか不安げに話しかけてきた。
「あの…社長さんですか…?」
我ながら間抜けな質問だった…。
オーラというか、雰囲気というものがあまり感じられない。
ホントに社長さんなのかどうか疑わしい…。