らっく!!
「知らない…」
凪ちゃんは私に見せ付けるように盛大なため息をついた。
「高屋 愁 17歳。高屋グループ社長現夫人の連れ子。
成績優秀、スポーツ万能、芸能事務所に何回かスカウトもされてるわね。
学校での別名は“氷の男”…」
最後の一言が引っかかる。
「氷の男…?」
なにそれ…?
「人から聞いた話なんだけど、あの人めったに表情を変えないらしいよ…?何があってもクール。誰に対してもクール。だから氷の男」
凪ちゃんはグラタンをつつきながら説明してくれた。
「全然信じられないんだけど…」
氷の男?誰それ?
先輩はいつも優しいし、笑うとすんごいかっこいいし、照れた顔なんか可愛くてたまらないんだよ!?
「私もあの人が高屋愁だって聞いた時は驚いたわよ!!前々から顔は知ってたけど、まるで別人なんだもん」
「だよね!?誰がそんなデタラメ流したんだろ…」
酷いよ…。