らっく!!


誰にも…


誰にも奪われたくないと思った―…。



失くしたものが多かった生活で初めて、


…失いたくないと思った。


俺が人を信じられなくなったのはいつの頃だったろうか?


周りの人間は金目当てで寄ってくる。


その度に冷たく切り返しきた。


正直、うんざりしていた。


だからかもしれない、美弦に惹かれたのは…。


屈託なく笑う美弦は他の奴らとは全く違っていた。


自分の生い立ちを知って、それでも笑っている―…。


美弦には俺みたいになって欲しくない…。




だから…



「守るよ…」



守ってみせる―…。


俺は眠っている美弦の額にそっと口付けた―…。


< 135 / 390 >

この作品をシェア

pagetop