らっく!!
「どうしてぇ…?どうしてもっと早く…っ!!」
いつだって明るくて
綺麗で…
優しかったお母さん。
もう2度と会えない―…。
責めずにはいられなかった。
“どうしてもっと早く助けてくれなかったんですか?”
「ごめん…」
紘一さんはそれだけ言うと、泣きじゃくる私を抱きしめてくれた。
もう涸れたと思っていたのに次から次へと涙が溢れて止まらなかった――…。
相楽さんが会議の時間ですと言うまで、紘一さんはずーっと私を抱きしめていてくれた。
名残惜しそうに去って行く背中を見ながら心の中で
“ごめんなさい―…”
謝った――…。
こうして私は高梨家に引き取られた。
親子だという実感も湧かないまま…。
そして
これからが本当の波乱の生活になるなんて考えもしなかった―…。