らっく!!


「愁…下ろして?」


泣き止んだ美弦は鼻をすすりながら俺の胸にうずめていた顔を上げた。


「いいじゃんこのままで」


俺はこのままがいいんだけど…。


そんなに嫌か…?


「いいから下ろしてっ!!」


俺は渋々地面に下ろした。


「凪ちゃんっ!!匡人先輩っ!!」


美弦はすぐさま数メートル離れて歩いていた大原と匡人に駆け寄った。


俺も後に続く。


「何?もういいのー?もっと甘えてくれば?」


大原は俺と美弦の顔を交互に見比べた。


「凪ちゃん、ありがと!!助けに来てくれて…お礼ちゃんと言ってなかったから…」


「美弦…気にしないで?ケーキで十分だから」


お前…友情の方向性、間違ってるよ…。


「匡人先輩も…ありがとうございました」


美弦は大原のとんでもない発言をさらっと流し、匡人に深々と頭を下げる。


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