らっく!!
「お礼なら体で払ってもらいたいな…」
ボソッと洩れた言葉は俺と大原の耳にはちゃんと届いていた。
「「調子に乗んなっっ!!」」
俺達の声は見事に重なった。
「お前…美弦の半径5メートル以内に近づくなっ!!」
俺は美弦を抱え込んで匡人から目一杯離した。
保健室のことを忘れた訳じゃないからなっ!!
「ひでぇな…嫉妬深い男は捨てられるぞ。なあ美弦ちゃん?」
先ほどの匡人のセリフが聞こえてなかった美弦はキョトンと首を傾げていた。
「うるせぇ!!」
ほっとけっ!!
「さあて…美弦も見つかったし帰ろうかな…」
大原は赤くなっていた空に向かって大きく伸びをした。
「はあ?何言ってんだよ?お前は学校に戻って仕事だろ?」
その頭をガシッと掴んだのは匡人だった。
「はあぁぁぁぁっ?なんでっ!!」
大原はさも当然とばかりに言い放つ匡人に怒り狂う。
「俺をおいて帰ろうとしたんだから当然だろ?」
でたな。匡人の俺様主義。
いつの間に大原に本性出したんだ?