らっく!!



「ぅ~ん…」


目を覚ますと私の隣には愁がいた。


というか愁の腕に包まれていた。


まだ寝てる…。


スースーという寝息が聞こえる。


昨晩はあんなに大人っぽい顔をしていたのに寝顔はまだあどけない。


首にはお揃いのリングが光っていた。


それを見て私は自分の左手の中指をさすった。


今、何時だろ…?


愁を起こさないように腕をはがし、体を起こそうとする。


その瞬間、ズキッと下腹部に痛みが走った。


あっ……っ―!!


ふわふわとした気分が痛みのせいで現実に引き戻された。


私…本当に愁と…。


あんなに激しく誰かの名前を呼んだのなんて初めてだった…。


かあぁっと顔が熱くなる。


愁に触られた所が不思議な熱を帯びる。


やだ…っ!!思い出しちゃった…。


時計を見るとまだ夜中の1時過ぎ。


ということは片付けが終わってからもう5時間も経っていることになる。


仄かに光る室内。


その正体を探るとベッドの傍にある窓から綺麗な三日月が見えた。


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