らっく!!


「佐崎さんのお宅ですよね?」


「あっはいっ!!」


「私は美月さんの知り合いのもので相楽(サガラ)と申します」


相楽さんは私なんかに礼儀正しく頭を下げて挨拶してくれた。


「お母さんの…?」


こんな知り合いがいたなんて聞いたことなかった。


「はい。この度は…」


相楽さんが気の毒そうに顔を歪めて言った。


「いえ…」


私はかろうじてそれだけ言うと仏壇の前まで案内した。


相楽さんは遺影の前で手を合わせ、お線香をあげてくれた。


「うちだってごめんよっ!!」


「押しつけないでくれません!?」


隣の部屋から怒鳴り散らす親戚の声が聞こえてくる。


私ははあっとため息をついた。


あの人たちはお母さんが亡くなっても悲しんでもくれない。


かすかに怒りが滲む。


お母さんの死はあの人たちにとってどうでもいいことなの?


< 3 / 390 >

この作品をシェア

pagetop