らっく!!
「佐崎さんのお宅ですよね?」
「あっはいっ!!」
「私は美月さんの知り合いのもので相楽(サガラ)と申します」
相楽さんは私なんかに礼儀正しく頭を下げて挨拶してくれた。
「お母さんの…?」
こんな知り合いがいたなんて聞いたことなかった。
「はい。この度は…」
相楽さんが気の毒そうに顔を歪めて言った。
「いえ…」
私はかろうじてそれだけ言うと仏壇の前まで案内した。
相楽さんは遺影の前で手を合わせ、お線香をあげてくれた。
「うちだってごめんよっ!!」
「押しつけないでくれません!?」
隣の部屋から怒鳴り散らす親戚の声が聞こえてくる。
私ははあっとため息をついた。
あの人たちはお母さんが亡くなっても悲しんでもくれない。
かすかに怒りが滲む。
お母さんの死はあの人たちにとってどうでもいいことなの?