らっく!!



淡い光がまぶしくて…手をかざす。


なんて眩しいのだろう…。


掴みたくても掴めない。


切なくなるほど遠い距離。


すぐそばにあるのに届かなくてもどかしい。


それでもこんなにも輝いているのはなぜだろう…。


しばらくそうして三日月を眺めてぼうっとしていると愁の寝息が途切れた。


「なに…してんの…?」


愁は起き上がって私の体を背後からきつく抱きしめた。


「月を…見てたの」


シーツを手繰りよせ裸の体を隠す。


「体…平気…?」


愁は私を気づかって毛布をかけてくれた。


「…平気だよ?」


気遣いがくすぐったくて少し笑えた。


「今夜は三日月なんだな…」


私は一緒に毛布にくるって愁によりかかった。


「私の名前って三日月からとったんだって」


「三日月…?」


不思議そうに私を見つめる愁。


「そう。お母さんが美月でしょ?だから私にも月にちなんだ名前をつけたかったんだって」


愁はへえっと感心しながら私の肩に腕をまわしそっと抱き寄せる。


その仕草が自然でまた安心して心もあずけられた。


「“美しい弦”で美弦。ほーんと名前負けしてるよね?」


私はクスクスと笑い出してしまった。


自分で言ってておかしくなっちゃった。


満たされることのない月の名前をどんなつもりでつけたんだろう?


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