らっく!!
「俺さ…昔は三日月が嫌いだったんだ」
愁は私の髪を指で弄びながら呟いた。
「欠けたところばっかりで虚しいだろ?」
寂しそうに微笑む横顔に胸がトクンと鳴る。
「でも今は欠けてる時があるから満たされた時に嬉しくなるんだって思うんだ。そう思わない?」
「思う…って!!なにしてんの…!?」
私の体はゆっくりとベッドに戻されていた。
「見ての通り押し倒してるんだけど」
当然のように答える姿には罪の欠片もない。
「お、押し倒すってっ…?」
ちょっと待ってぇぇ―っ!!
「我慢の限界ってこと。もう一回しよ?」
愁は楽しそうに頬にキスを繰り返す。
あまりにも可愛く言うもんだから私だって逆らえない。
「うん…」
気づくとそう頷いていた。
「んっ…しゅ…」
「好きだ…っ…」
そう言ってまた私の体を熱くする。
幸せ過ぎて溶けてしまいそう…。
薄れゆく意識の中で愁の名前を必死に呼んだ。
愁…大好き―…。
残酷な別れの日は刻一刻と迫っていた―…。