らっく!!



再び愁から連絡が入ったのは年が明けて1週間ほど経った頃だった。


『美弦…?』


久しぶりに聞く愁の声はかすれていた。


「愁っ!!どうして連絡くれなかったの!?心配したんだから…っ」


漸く連絡がとれて押し寄せていた不安が一気に安堵に変わる。


無事でよかった…。


なにかあったんじゃないかってずっと不安だった。


『ごめん…心配させて…』


「ううん…」


携帯片手に首を振る。


聞こえてくる愁の声は心なしか元気がなかった。


しかしその理由を聞く前に嬉しい提案が耳に飛び込んできた。


『…今から会えないか?』


今から…?


壁にかけている時計に目をやる。


針は9時を少し過ぎたところを指していた。


外は既に真っ暗で、1人で出歩くには少し怖い。






「うん。会いたい…」



…それでもこの時は愁に会いたい気持ちが勝っていたのだ。


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