らっく!!

「ごめん、先行ってて!!」


「うん」


凪ちゃんは忘れ物をとりに教室へと戻っていった。


凪ちゃんが見えなくなった途端にふうっとひとつ息を吐く。


心配かけてる自覚は…ある。


凪ちゃんが気を使っているのもわかってる。


だから私だって余計に一緒にいて疲れてしまう。


私は授業が行われる特別教室まで歩き始めた。


こんな時でさえ耳につく噂話。


「どうやって高屋さんに取り入ったのかしら…」


「大人しそうな顔してやるよな…」


私は何も悪いことをしていない。


そう思っているのに心無い言葉に私の気持ちは沈んでいく。


しかし次の瞬間その声が消えた。










「あっ…」


顔を上げると私の目はある一点に釘付けになった。


しゅ…う…っ…。


廊下の向こう側から歩いてくるのは間違いなく愁だった。