らっく!!
周りで噂話をしていた人はばつが悪くなってどこかへ去っていく。
どうしよう…。
何て言ったらいいの?
気だるげに廊下を歩く姿に目が離せない。
息を飲んで見つめていると愁と目が合った。
その瞬間私の体が竦んだ。
ごちゃごちゃと悩んでいた頭の中が急にはっきりして、唐突に理解した。
私…愁が…。
持っていた教科書をぎゅっと抱え込んで目を瞑る。
愁はどんどん近いてくる。
…そして。
まるで私がいないかのようにその場を通りすぎた。
緊張がすっと抜けてその場にへたり込む。
何…期待してたんだろう…?
私達は別れたんだ。
もう赤の他人。
私とは別世界のひと…。
ホントに忘れなきゃ…。
これ以上心をかき乱されたくない。
私は立ち上がって歩き出した。
…その時、聞こえた。
“それでいいの…?”
今度はもっと大きく。
“ねぇ?ホントにこれでいいの…?”