らっく!!
心の行方
「ほら、私達の言うとおり直ぐに捨てられたでしょ?」
私は言い返さずにキッとその人達を見上げた。
ひとりになった隙を狙って話しかけてくるなんて意地が悪いと思う。
しかもこんな人気のない空き教室まで連れてくるなんて手が込んでる。
「何か言ったら、佐崎さん?」
…きっとこの人たちは私が言ったことを笑いの種にしたいだけだ。
…バカな女だって蔑みたいだけなんだ。
「…あなた方に話すことなんてありません」
もう…忘れるんだから…。
私は唇を噛み締めてその場をやり過ごそうとした。
「どうしてあなたみたいな人を高屋さんは一時でも選んだのかしら!!」
集団の中のひとりが声を荒げる。
「…やめて…ください」
…思い出してしまうから。
「あら?あなたのために言ってあげてるのに」
ニヤリと先頭にいた人が私に囁く。
「ただの気まぐれに思い上がらないように、ね?」
クスクスと笑い声がそこらじゅうから溢れ出す。
言いたいことを存分に言った彼女たちは私を残して空き教室から出て行った。
体から力が抜けて壁に沿って座り込んでしまう。
なんだかこんなことばかりだな…。
忘れようと…してるのに…。