らっく!!
「佐崎さんだよね…?」
後ろから肩を叩かれた私は彼のほうに向き直った。
「そうですけど…」
えと…。空き教室であった人だよね…?
「この間は変なこと口走ってごめんな?俺、余計なこと言ったのかもとか思ってさあ…」
それでわざわざ声をかけてくれたのかな?
「ううん。そんなことない」
私は首を振った。
「今、時間ある?話したいことがあるんだけど…」
彼がお願いっ!!と両手を合わせて頼み込む。
「わかった。いいよ」
普段ならノコノコついていったりしない。
こんな私にもそれなりの警戒心とやらは備わっているのだ。
なけなしの警戒心を取り払ってしまったのはあの時のあのセリフ。
“俺は…高屋愁はあんたのこと本気だったと思うよ…”
そう言われたことで私と愁の関係に意味があったように感じた。
でもそれは甘かった。
…彼がほくそ笑んでいるのに私は全く気がつかなかった。