らっく!!
「ただいま―…」
いつものようにリビングの扉を開ける。
これが最後だと思うとドアノブを握る手にも力が入った。
「おかえり~!!」
私を出迎えたのはソファーからの明るい声だった。
思いもしない返事に驚いて目を見開く。
「紘一さん出張から帰ってきたんですか…」
できれば会いたくなかった。
…決心が揺らぎそうで。
「お土産あるよ」
テーブルにはズラリと並んだ紙袋の数々。
どれも女の子なら誰でも一度は持ちたいブランドのロゴが入ってる。
きっとこの中には服やら小物やらが沢山詰まってる。
私は楽しそうにニコニコと笑う紘一さんを前にため息をついた。
「紘一さん、いつも言ってるじゃないですか。こんなに沢山買って来てもらっても困ります」
「えーっ!!折角買ってきたのに―…」
子供みたいに口を尖らせ拗ねる紘一さん。
「とにかくっ!!いりませんからっ!!」
私は紘一さんとお土産を背にし、リビングから出ようとした。
「美弦っ!!ちょっと待った――っ!!」
「はい?」
紘一さんが突然私の目の前で両手を広げ、行く手を遮る。
「これはもらってっ!!」
差し出された白く長細い箱には綺麗なラッピングが施されていた。