らっく!!
「何ですか?」
「いいから!!」
紘一さんは私の手を取り箱を握らせた。
「開けて?」
何だろう?
あまり重さはない。
戸惑いながら紘一さんの表情を窺う。
紘一さんは私と目が合うと優しく微笑んだ。
その笑顔と対照的に私の表情は曇っていく。
この家を出て行こうというのにもらっていいものなのか…?
「美弦、早く開けて?」
紘一さんの急かす声にハッと我に返り、慌てて箱を開ける。
目に飛び込んできたのは―…。
淡い光―…。
「あのっ!!これっ…」
目の前にあるものが信じられなくて焦りながら紘一さんに問いただす。
「美弦のために作ったんだ。返品不可だから!!」
紘一さんはサラリととんでもないことを言ってのけた。
改めて箱の中をまじまじと見つめる。
ピンクのジュエリーが輝いて自分の存在を主張している。
ペンダントトップに固定されたそれは私にも分かるくらい高そうで、とてもじゃないけどもらえない。