らっく!!
「ごめんなさい」
私は箱を閉じて紘一さんの胸に突き返した。
気持ちは嬉しい。
紘一さんがわざわざ作ってくれたんだ。
嬉しいに決まってる。
でも私はもらえない。
もらう資格がない。
「…何で?」
紘一さんは箱を突き返した私を怒るどころか逆に優しく頭を撫でてくれた。
「だって…高そうだし…」
その宝石をつけるだけのことを私がした?
むしろその逆だ。
今、この瞬間にもマスコミはスクープを狙ってる。
私の言い分に紘一さんは寂しそうに箱を見つめた。
「昔…美月にも同じこと言われたな…」
「お母さんに…?」
「美月も受け取ろうとしなかったんだ。結局そのまま渡せなくて…未だに持ってるんだ」
未練がましいだろ?と紘一さんは自嘲気味に笑う。
私にはその時のお母さんの気持ちがわかった。
自分の手に余るものをもらっても怖いだけ。
自分の価値と宝石の価値を比べて虚しくなるだけだ。