らっく!!



「約束だ。さっさと出せ」


白石は手を差し出した。


私の心は決まっていた。


逃げない。


「早く出せよっ!!」


なかなかデータカードを出そうとしないに私に中村がイライラと叫びだした。


「…ない」


白石が眉をひそめる。


「あなた達に渡すものなんか…ない」


私は逃げない。


…紘一さんを裏切りたくない。


「はあ?ふざけんなよ!!バラされたいのかっ!?」


渡は私が正気かどうか疑っていた。


「それはダメっ!!でもデータも渡せない…だから…」


静かに目を瞑る。









バイバイ…。


愁―…。








大きく息を吸う。


…決心が鈍らないように。


「好きにして…?私の体…好きにして。どうしようがあなた達の自由」


私は3人を見据えた。


我ながらバカだと思う。


こんな方法しか思いつかないなんて…。


3人はしばらく呆気にとられていた。


その空気を破ったのは中村の怒声だった。


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