らっく!!
美弦が寝たのを確認し私はそっと部屋を出た。
「大原ちゃん!!美弦は?」
部屋の外には紘一さんと秘書の相楽さんが待ちかねていた。
「今…寝たところです」
私はゆっくりと落ち着かせるように言った。
「そうか…」
紘一さんは肩の力を抜いた。
その時、タイミングを見計らったように会長がやってきた。
「紘一さん、やっと吐きましたよ。あいつら」
会長は疲れた様子で肩を揉んでいた。
「どうだった?」
「あいつら美弦ちゃんを脅してたんですよ。隠し子だってマスコミにバラさない代わりに、高梨カンパニーの機密データを渡すように迫ったらしいです」
会長はあいつらを心底馬鹿にしたようにハッと笑う。
「そうか…」
紘一さんの眼光が鋭くなった。
「最低っ!!」
吐き気がする。
美弦の弱みに漬け込んであんなに追い詰めて…。
「もっと殴っとけばよかったっ!!」
もしあの時…。
もしあの時、私が資料室に行かなかったら…。
そう思うとゾッとする…。
なぜ美弦ばかりがあんな目に遭うのかと思うとやるせない。
会長は更に続けた。