らっく!!


「いつからだ…?いつから美弦は脅されていたんだ?」


紘一さんが引き絞るように尋ねた。


「まだそこまでは…」


「そうか…」


紘一さんの深いため息が聞こえた。


「悔しいっ…」


私は思わず口に出していた。


悔しくてたまらない。


私が一番そばにいたのに…何も気づかなかった。


美弦はひとりで悩んで、苦しんで。


肝心な時に力になれなくて。


「くや…しいっ…」


悔しすぎて唇を噛み締めた。


自然と流れ出る涙を拭うこともしなかった。


久しぶりに泣いた気がする。


悲しくて泣くのとは違う。


悔し涙なんて初めてかもしれない。


「大原…お前が泣くなよ…」


会長の言葉も聞こえない。


「美弦の体…見えない所に一杯、痣があった。1日や2日でつくもんじゃないっ!!きっと…ずっと前から…っ…」


なんで気づかなかったの?


精一杯の美弦のSOSを私は見過ごしてたの?


< 348 / 390 >

この作品をシェア

pagetop