らっく!!
「美弦は幸せだな…」
紘一さんは私の頭を優しく撫でると電話をかけた。
「相楽、追加だ。二度と美弦に手を出さないように徹底的にやれ。他の奴らに高梨の力を見せつけろ。金はいくら使ってもかまわない」
紘一さんは通話を終了し、今度は私達を見る。
「2人とも悪かった。全部俺の責任だ」
そう言って頭を下げる紘一さんに私はうろたえた。
「やめてくださいっ!!」
慌ててやめさせようとするが紘一さんは決して頭を上げようとはしなかった。
「いや俺の責任だ。いつかこうなることはわかってたんだ。俺の…俺の覚悟が足りなかったんだ。ふたりまで巻き込んで本当に悪かった」
その場に沈黙が流れる。
美弦の行動に責任を感じているのは他ならない紘一さんだからだ。
この重々しい雰囲気を破ったのは会長だった。
「紘一さん、仕事残ってるんじゃないですか?今は早く会社に戻ったほうがいいですよ」
会長の言葉に紘一さんもハッと顔を上げた。
「美弦ちゃんが気にするでしょ?」
笑った顔が今日ばかりは輝いて見える。
「そうだな…」
紘一さんの顔が緩む。
紘一さんは仕事に戻るとその場をあとにした。