らっく!!



「お前なあ…俺だってお前に多少、感謝はしてるんだぜ?そもそも愁がそばにいたらこんなこと起こらなかったはずだしな」


会長は私からくるりと背を向けて歩き出した。


慌ててその後を追う。


「まだわからないんですか…?高屋先輩のこと…」


「ああ。肝心な所がさっぱりな…」


会長は黙々と足を進めた。


「そうですか…」


八方塞がり…。


美弦はきっとまだ高屋先輩が好きなんだろう。


理由があって別れたなら早く知らせてあげたい。


でも中途半端に期待を持たせたらいけないからまだ何も言えない。


また…何もできないの…?


「早く帰れ。早く帰って寝ろ。そうしたら余計なこと考えなくてすむ」


私の表情で何かを察した会長はそう告げた。


「うん…」


なおも気分が沈んでいるのを見かねた会長は思い切り私の背中を叩いた。


「いった――いっ!!」


思わず背中を押さえて悶える。


バシッと小気味良い音の通り威力は抜群だった。


「男3人相手に無傷で勝利した女がこれぐらいでギャーギャー喚くな」


この野郎っ!!


「それとこれとは別っ!!」


この減らず口をどうやって塞いでやろうか!!


「あーうるさいっ!!さっさと帰れっ!!」


会長はあっちいけと手をヒラヒラと上下に振る。


「わかったわよっ!!帰ればいいんでしょっ!!帰りますよっ!!」


絶対すぐに戻ってきてやる!!


私は怒りながらも高梨家をあとにした―…。


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